自筆証書遺言 筆跡鑑定 北九州市

2016年01月08日

先日、自筆証書遺言で故人(母)が書いたものではないかもしれない、というご相談がありました。

ご相談者様は、とある事情で兄弟とは疎遠になっており、遺言を残した故人様の法事にも呼ばれておらず、10数年兄弟とは会っていなかったそうです。

そんな中、数か月前に4人兄弟のうちの1人(Aさん)から、「母の自筆証書遺言があるから兄弟全員で確認しよう」と言われ、兄弟全員揃って話し合いが持たれたみたいです。それまで、遺産分割協議などは一切行っていないとのことでした。

 

封筒はすでに開封されており、検認手続きも経ておらず、一方的に話を進められた協議だったらしく、遺言内容は「Aさんに、全財産を相続させる」とあり、「こういうことだから」と締めくくられたそうです。

しかし、相談者様が腑に落ちなかったところ、それは「遺言書の字体は母のものと言えば母のものだが、今回相続しない兄弟の1人(Bさん)ともそっくりな字体」だったみたいです。

 

相談内容としては、「遺言の内容に異論はない。そして、遺留分減殺請求や遺言書秘匿による相続人欠格事由に該当するかもしれないことや、家庭裁判所外で開封したことなどは、10年経過しているし裁判などで争いたくないから、この際どうでもよい。ただ、この遺言書は本当に母が残したものなのか。」というものでした。

自筆証書遺言の筆跡鑑定は、「原本」と「遺言書とは別に本人が書き残した物」がなければ、鑑定は難しい、むしろできないと聞いています。(私共も専門ではないのでよくわかりません)

そして今回は、自筆証書遺言の写し(※原本はAさんが所持)とBさんの手紙、この2点しかなく、遺言書筆跡とBさん筆跡を鑑定することは可能かもしれませんが、そもそもコピーですし、仮に鑑定できたとしても、Bさんが書いた書いていないだけが判明し、Bさんが書いていた場合であっても、裁判にはしたくないので事実を把握できるだけで、また、Bさんが書いていないかった場合、だからといって母本人が書いたことにはなりませんので、諦める結果となりました。

 

このように、自筆証書遺言の場合、本人が書いたものかどうか不信に思う方が現れることも、しばしばあります。もちろん不信に思うには、それなりの理由、背景、状況など様々な要因があります。

こういったトラブルを予防するためにも、せっかく家族の事を考えて遺言を残すのであれば、是非とも公正証書遺言として遺されることをお勧めいたします。

 

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