先日、当事務所に相談に来られた方を例にさせていただきます。
・現在、長男の嫁と暮らしている。(孫は大学生)
・長男は既に他界している。
・今住んでいる家(土地、建物)を嫁に相続させたい。
・だから、長女には放棄するように言ってるし、どう分けたいかをメモで残しているから、メモのとおりやってくれたらいい。
まず、お嫁さん。相続人にはなりません。
よって、相続人である長女、もしくは孫が不動産を相続することになります。その後、売買または譲渡によってお嫁さんに不動産を渡すことになります。これなら孫のままでいいでしょとお嫁さんは言ってました。
メモがあれば出来るもんだと考えていたご相談者様ですが、メモでは難しいのが実情です。
メモではなく、きちんと自筆証書遺言という形であれば良いのですが、「家は嫁に」では・・・
結局メモをもとに「遺産分割協議書」を遺族が作成しなければなりませんし、この段階でお嫁さんに財産がいくことはありません。
どうしてもお嫁さんに、となると遺言書で遺贈の意思表示が必要です。
また、自筆の場合家庭裁判所で検認手続きを経なければなりませんし、裁判所の手続きって聞くだけで敬遠される方も多く、遺族の方が大変です。「よくしてくれたから」とか「感謝しているから」といった理由で財産を残したいと思われているのであれば、「死んだあとのことは知らん」ではなく、家族が困らないように遺言書を遺しておいた方が優しいです。
一方で、相続人側からすると、遺言書があるのとないのとでは手続きの煩雑さに変化があります。
〇まず、共通点
・遺産(プラスの財産、マイナスの財産)を全部調べて財産目録を作成し、相続財産(不動産・動産・預貯金・有価証券等)の全貌の把握。
・相続税が発生するのであれば10か月以内に申告
負債が法外な金額なら放棄するかどうかの判断(3ヶ月以内)
〇遺言書がない場合
・相続人全員で遺産をどのように分けるかの話し合い
・まとまったら書面作成、署名捺印
・その書面をもって、不動産の名義変更や預貯金の解約などの手続き
〇遺言書(自筆)がある場合
・開封せずに家庭裁判所に検認を申し立てる
・裁判所で開封されて検認証書が添付される
・検認証書が添付された遺言書をもって、各種手続きを開始する
はい。これらを誰がしますか?から始まります。誰が財産調べるの?誰が書面作るの?誰が裁判所に申し立てるの?
ちなみに、上記は簡単に書いてますので、証明書等はもちろん必要です。
また検認は、その遺言書が法的に有効か無効かを判断するものではありません。
〇では、公正証書遺言がある場合はどうでしょうか。
・遺言執行者(遺言書の内容を実現する人)が設定されていれば(ほぼ設定されてます)その人にお任せ。
・共通の財産目録作成についても執行者が行うことになります。
はい。以上です。
相続人の負担を軽減するには何が最善の方法なのか、一目瞭然ですね。
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